数学から学べること⑧「ランダムウォーク」~本質を見てこそ<不思議さ>も見える~

数学から学べること⑧「ランダムウォーク」~本質を見てこそ<不思議さ>も見える~

 

数学から学べる本質的な思考を、人生の他のところに応用する「数学から学べることシリーズ」第8回

今日のテーマは「本質を見てこそ<不思議さ>も見えること」について考えてみたい。

 

 

第6回「数学から学べること⑥~本質を掴む力を日常に応用する~」で、

「xy平面」も「xyz空間」も「xyz○空間」も一般化して、「x_1 x_2 x_3 ...x_n空間」を考えたら、

全部同じく扱うことができる。

そこに「x_1 x_2 x_3 ...x_n空間」として見た時、本質的な違いはない、という話をした。

 

 

これを分かった上で、以下のことを見てみた時に、その不思議さが一層分かるようになるということをお話したい。

やはり物事は「本質」が分かってこそ<不思議さ>も<面白さ>も見えてくるようになるということを感じてもらえればと思う。

 

 

ランダムウォーク(random walk)とは?

 

「ランダムウォーク」(random walk)というものがある。

その名の通り、「点」があるところを「ランダムに」動き回るその挙動のこと。

その挙動を解析しようとするのが「ランダムウォーク理論」だ。

 

 

ランダムウォークの研究は実際私たちの日常にも様々なところに表れてくる。

 

株のチャート

 

例えば「株のチャート」もランダムウォークに近い。(完全にランダムではないだろうが)

そのため「ランダムウォーク理論」を用いて、株のチャートを解析しようとする試みはある。

 

 

 

株のチャートを見てみると、確かに「点」が上下に「ランダム」に上下しているように見える。

 

雪の結晶シミュレーション

 

これは余談だが、個人的にSE時代、会社の新人研修でプログラミングを覚えた時、研修中に出された課題がはやく終わってしまってかなり暇だったので「雪の結晶シミュレーション」を作ったことがある。

水の粒子が空中にランダムに浮遊していて、中心にある<核>に付着すると、白く固まるというプログラムを作った。

 

 

それで実際に動かしてみると、だんだん中心の<核>で結晶ができていったが、見てみると、全然「雪の結晶」っぽくない。。。

どちらかというと「カビ」のように見えた。(;´・ω・)

「カビシミュレーション」になってしまった。。。

(そういう意味では、カビの繁殖もランダムウォークに近いのだろう)

 

 

そこで「ああ、そうか、もっと中心力を働かせないといけないんだな」と分かった。

実際引力があるので、粒子は引き合っている。

そこで水の粒子がもう少し中心に集まるようにしたら、ある程度綺麗な雪の結晶ができた。(*‘ω‘ *)

雪の結晶は「中心力」がないと形成されないということが分かった。

 

 

※以下が実際のシミュレーション結果

 

 

ランダムウォークの再帰問題

 

今は簡単な例として「1次元のランダムウォーク」を考えてみる。

 

 

数直線上の原点0に点Pがいる。

そしてそこから毎秒毎に、確率1/2で左へ、確率1/2で右へ移動する。

(もっと一般化すると、確率pで左、確率1-pで右に移動することにしてもOK。

でも今は簡単にするために、半分にしておこう)

 

 

そうすると点Pがふよふよ動き出すことになる。(´・ω・`)

 

 

この時、以下のような疑問がわく。

 

 

Q.ずーーーっと時間が経つと、いつか点Pは原点に帰ってくるのだろうか??(´・ω・`)

 

 

おじいちゃん的に表現するならば、

「うちを出ていったバカ息子は、いつか帰って来るのじゃろうか…」(‘Д’)

的な問題だ。

これを「ランダムウォークの再帰問題」と言ったりする。

 

 

※ただランダムウォークとおじいちゃんの違う点は「おじいちゃんには寿命がある」というところ。(;^ω^)

ランダムウォークは「無限回やっても帰ってこないか?」というところを問うている。

 

 

ちょっと数学的に表現してみると、

この「点Pがいつか原点に帰ってくる確率」を「X」と表すとすると、

ここで興味があるのは

X=1」なのか?

0<X<1」なのか?

という点。

 

 

X=1」つまり点Pはいつか100%原点に戻ってくる

のか

0<X<1」つまり点Pは原点に戻ってこない可能性がある

のか

ここが論点だ。

Xの値がいくつなのか知りたいところではあるが、実際に直接求めることは容易ではないので、

より本質的なことを考えようという試み)

 

 

息子を待つおじいちゃん的には「X=1」であって欲しいところだが、

さて実際のところはどうなのだろうか???(´・ω・`)

 

 

 

1次元ランダムウォークの再帰性

 

直感的にどうだろう?

帰ってきそうな気がするだろうか?(´・ω・`)

 

 

恐らくなんとなく

「両方の方向に同じ確率で動く訳だし、いつかは帰ってくるんじゃん?」(-ω-)

という気がするのではないだろうか?

 

 

これの計算には「マルコフ過程」というのを使うのだが、細かい計算は全部すっ飛ばし、結果だけをお伝えしよう。

 

 

実際のところは…

 

 

 

 

その通り!(*‘ω‘ *)

 

 

この場合(つまり「1次元ランダムウォーク」の場合)、「X=1」になる。

つまり点Pは無限回やれば、いつかは原点に帰ってくる。

 

 

おじいちゃんとしてもうれしい限りだろう。(*’▽’)

 

 

 

2次元以上のランダムウォークの再帰性

 

さて、1次元ランダムウォークがあるのだから、当然2次元ランダムウォークもあるし、

3次元4次元いくらでも考えることができる。

 

 

今2次元ランダムウォークも少し考えてみよう。

 

2次元ランダムウォーク

 

2次元「xy平面」の原点(0,0)に点Pがいる。

そこから出発して、移動できる方向としては「上下左右」で4方向。

なので毎秒毎に、上下左右のいずれかの方向に「1/4」の確率で移動していくことになる。

 

 

そうすると点Pはまた平面内をふよふよ動き出すことになる。

以下のような感じになるだろう。

 

 

 

さて、ここでも同じ問題を考える。

 

 

Q.ずーーーっと時間が経つと、いつか点Pは原点に帰ってくるのだろうか??(´・ω・`)

 

 

今度はちょっと自由度が高くなった。

1次元の時は左右どちらかだったが、今度は4方向も動ける。

これはさらに帰って来づらくなってしまうようにも思える。

 

 

おじいちゃんとしては、悩みの種が増えたことになる。(; ・`д・´)

 

 

 

さて「いつかは原点に帰ってくる確率:X」の値はどうなるのだろうか??

 

 

直感的に、どうなりそうだろうか??

自由度が増えたとは言え、しかし4方向に同じ確率で進むのだから、戻ってきそうな気はする。(´・ω・`)

 

 

これも細かい計算は全部すっ飛ばして結果だけをお伝えすると、、、

 

 

 

「いつかは帰ってくる」(*‘ω‘ *)

が答え。

つまり「X=1」になる。

2次元になっても無限回やれば必ずいつか原点に帰ってくる。

 

 

おじいちゃんとしても、ほっと胸をなでおろす瞬間だ。

 

 

 

3次元ランダムウォーク

 

2次元を考えたら、ついでに3次元ランダムウォークも考えたくなるのが人の情というやつだ。

 

 

同じように「xyz空間」の原点(0,0,0)に点Pがいる。

そこから出発して、移動できる方向としては「東西南北・上下」で6方向。

なので毎秒毎に、「東西南北・上下」のいずれかの方向に「1/6」の確率で移動していくことになる。

 

 

そうすると点Pはまた空間内をふよふよ動き出すことになる。

ここでも同じ問題を考える。

Q.ずーーーっと時間が経つと、いつか点Pは原点に帰ってくるのだろうか??(´・ω・`)

 

 

今度は更に自由度が高くなった。

2次元の時よりも方向が2増えて、今度は6方向も動ける。

さらに帰って来づらくなってしまうようになった。

 

 

おじいちゃんとしては、またまた悩みの種が増えたことになる。(; ・`д・´)

実際n次元空間になれば、移動方向も2n個あるので、悩みはどんどん増えるばかりだ。

 

 

 

 

さて直感的に、どうなりそうだろうか??

2次元ランダムウォークが戻ってきたので、戻ってきそうな気はするが。(´・ω・`)

 

 

これも細かい計算は全部すっ飛ばして結果だけをお伝えすると、、、

 

 

答えは…

 

 

 

 

「帰って来ない」のだ!Σ(・□・;)

 

 

……(‘Д’)……

 

 

なにーーーーーーーーーーーーΣ(・□・;)

 

 

正確に言うと「帰ってこない可能性がある」ということ。

さきほどのXで言うと、「0<X<1」になってしまう!

点Pは無限回やっても、どこかへ消えてしまう可能性があるということだ。

 

 

おじいちゃん大ショック!!(; ・`д・´)

息子は永遠に帰ってこないかもしれない。。。

 

 

本質を見てこそ<不思議さ>も見えてくる

 

この不思議さを感じてもらえるようにと、かなり回りくどい感じに書いてしまったが、いかがだっただろうか?

 

 

最初にも述べたように、

「xy平面」も「xyz空間」も「xyz○空間」も一般化して、「x_1 x_2 x_3 ...x_n空間」を考えたら、

全部同じく扱うことができる。

そこに「x_1 x_2 x_3 ...x_n空間」として見た時、本質的な違いはない。

 

 

しかし「ランダムウォークの再帰性」を考えた時、

1~2次元ランダムウォーク→再帰性がある

3次元ランダムウォーク→再帰性がない

(記憶が曖昧だが、3次元以上は再帰性が無かったはず)

と、1~2次元と3次元の間に「本質的な違い」が生じてくる!という点が、この問題のとても不思議なところだ。

 

 

同じ話をしているのに、なぜ3次元以上になると再帰性が失われるのか。。。

とても不思議な部分である。(; ・`д・´)

 

 

なぜそうなのかまでは、専門外で自分も分からない。(‘Д’)

(分かる方がいれば、是非メール等でご教授頂ければ幸いだ。

とても興味のある部分なので。(*’▽’))

 

 

 

以上かなり長く書いてみたが、

このように「本質」を見てこそ、物事の<不思議さ>も<面白さ>も見えてくるという話をしてきた。

単純に「3次元以上だと再帰性がないんだな」とだけ分かると、あまり不思議さも面白さが見えてこない。

 

 

身の回りのものも、ただ見ると当たり前のことだが、

本質を見ていくと、とても不思議なこと、面白いことはとても多い。(*‘ω‘ *)

 

 

また次回以降の触れていければと思う。

 

【今日の二言まとめ】

○物事は「本質」を見てこそ<不思議さ><面白さ>が見えてくる

○3次元以上のおじいちゃんの息子は帰ってこないかもしれない

 

 

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数学から学べること⑧「ランダムウォーク」~本質を見てこそ<不思議さ>も見える~” に対して1件のコメントがあります。

  1. たつや(聖心) より:

    これ凄く面白いです!!
    きになるーーー

    1. シンジュン より:

      気になりますよね!笑(; ・`д・´)

      また分かったら続きの記事書きますね!(‘ω’)ノ

      誰か分かる専門家がいたら、教えて欲しいです。

  2. merci より:

    ぎゃー!めちゃーオモロイー!!
    物理学のランダムウォークといえば、ブラウン運動でおなじみ、ブラウン-アインシュタイン方程式ですが、関連はあるのかな。物理と数学は密接ですからね。。。(専門外٩( ‘ω’ )و)

    1. シンジュン より:

      物理のランダムウォークと言えばブラウン運動ですね。^^

      多分証明の過程などを見ていくと、どこかに「3次元であること」を使っている部分があるはずなんですが、勉強したのがとうの昔なので、さすがに覚えておらず。(^^;
      もし分かったら教えて下さいね♪

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