【詩】 ものさし

 

 

 

【ものさし】 2008/10/11

 

 

手に紙とペンとものさしを持って

頻りに地面を測っては計算している人を見た。

 

 

私は彼に尋ねた。

「あなたは紙とペンとものさしで地面を測り

一体何を知りたいのですか?」

彼は答えて言った。

「私は科学者です。

私は私たちのいる、この地球がとても大きいのだと聞きました。

それでどれほど大きいのか知りたくて

こうして測っているのです」

 

 

彼はかれこれ十年近くもそうしていると言った。

私は再び彼に尋ねた。

「あなたは地球がどれほど大きいのかを知りたいのですか?

それともこの地球が

何平方キロメートルあるのか

何平方メートルあるのか

何平方センチメートルあるのかを

知りたいのですか?」

 

再び彼は答えた。

「いいえ、私が知りたいのは地球がどれほど大きいかということです。

しかし私がそれを理解できるために

こうやって測っているのです」

そういって彼はまた、ものさしを地面に当てて

その長さを紙にメモした。

 

 

私は彼を深く哀れみ、言った。

「友よ、私について来てください」

 

 

それから私は彼を、高い高い山の上に連れて行った。

「友よ、御覧なさい。

これが、あなたがそのちっぽけなものさしで測ろうとした

地球であり、大地であり、

私たちが住まう場所です。

さあ、目を見開いて、見てご覧なさい。

目を開いて、見て御覧なさい」

 

 

白々と染まる雲々の向こう

広々と広がる緑々な大地を眼下におさめ

東西南北

三百六十度の光景を目の当たりにした時、

彼は一瞬息を止め

静かに

ゆっくりと

細く細く吐き出し

天に向かって叫んで言った。

「広い!

確かに、確かに

私たちの住むこの地球は

広い!」

 

 

彼が両手を打ち鳴らし

歓喜の声を上げている時

私は彼の隣にそっと立ち

言葉を続けて言った。

「友よ、あなたの目が見ているように

確かに確かに

私たちの住まうこの地球は広いのです。

しかし友よ、私はもう一つだけ

あなたに言うことがあります。

友よ、あなたと私の見ているこのあまりにも勇壮な大地は

この地球のほんの

ほんの一部分にしか過ぎないのです。

私たちの見ているこの大地は、ほんの一部分にしか

過ぎないのです」

 

 

それを聞いた時、

彼は動きをぴたりとやめ

手に持っていた紙と

ペンと

小さな小さなものさしを

落としてしまった。

 

 

 

彼が二度と

それらを拾うことは

なかった。

 

 

【詩】 ものさし” に対して1件のコメントがあります。

  1. あすま。 より:

    なんか、こう。。ぽろり。

    1. シンジュン より:

      ( ノД`)シクシク…

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